2008年03月24日

想像力と記憶が、世の中とつないでいた。

本当に、本当に、久しぶりにアップします。さとるです。
この数ヶ月、映画館とは無縁な生活をしておりまして、
さらに来週からはわが家に「地デジ」なるものが導入されるわけで
ますます映画館離れになることが、自分でも怖いです。

今あるテレビは、昔バイトしていた会社の上司が、
ゴルフの「ブービー賞」でもらった賞品で、タダでもらった上に、
ちゃっかり家電の寿命といわれる10年も立派におつとめを果たしてくれたので、
液晶テレビをこの際贅沢しても罰はあたらないだろうってことで。
奮発して、sharpのアクオスを買っちまいました。あー、ビンボー万歳。


ま、そんな自分の生活事情なんてどうでもいい話は置いておいて、
ひっさしぶりに「映画館で観たい映画」に出会えたので行ってきました。


「潜水服は蝶の夢を見る」


前情報は、ポスターのみ。最近は、映画の情報誌ともとんと離れてしまったもんで、友達と話していても、浦島太郎状態です。
「ELLE編集長」「実話」「20万回の瞬きで本を書き上げた」という、断片的な情報だけでも、何かこう、グッとくるものを感じていて、公開されたその週にいそいそと行ってきました。

映画は、主人公のジャンが病室で目覚めるところからはじまります。
自分に降りかかった出来事を理解できず、ただ呆然と周りの状況をうかがう彼の心情が、目覚めた彼の“目線”で描かれています。
ロックト・インシンドローム。
意識ははっきりとしているのに、体の自由が全くきかない。自分の意志の通りに動いてくれるのは、左目の瞼のみ。この症状を例えたのが「潜水服」というワード。

周囲の投げかける言葉は全て理解できる。その言葉によって、感情が昂ぶったり、何かを伝えたい思いは湧き出でてくる。手をさしのべ、そこに居る愛しいものに触れたい思いが募る。…だけど、体だけはその意志に全く反応しようとしない。
想像するだけで、なんて、もどかしいんだろう。

そんなジャンに、言語療法士アンリエット(この人がむっちゃ美人!!)が左目の瞬きだけで会話する方法を編み出してくれる。使用頻度の高いアルファベットを読み上げ、伝えたいワードを瞬きで合図する。一字一字、その作業が繰り返される。その方法によって、ジャンは自伝を書くことになる。「20万回の瞬き」で。


だいたい、天の邪鬼な私は、こういった「難病もの」「再生もの」といった、“どん底からはい上がって、幸せを手に入れた”という話は苦手。
ただ、この映画の素晴らしいところは、それが実話であるということ。そして、その自伝を書くまでの主人公の気持ちの動き、家族や友人、仕事仲間、恋人との関係が、妙に人間くさいところ。ドラマチックな仕立てではなく、実際にこの苦悩を乗り越えて、世界中で読まれることになる自伝を書いた本人を、ヒーロー的に祭り上げるわけでもなく、感情の動き、人との関係を、忠実に再現しようと試みている姿勢が手に取るように感じられるのだ。それは、製作スタッフ(特に監督や役者たち)が、ELLE編集長として地位も名声も手に入れたある男の、人生そのもの、日常というものをリスペクトしているからに違いない。ひとつのドラマの「ネタ」としてではなく。

映画の中で、ジャンが印象的な言葉を投げかける。
動かない体に閉じこめられた意識には、「自由な想像力と記憶がある。」


何一つ不自由のない生活を送り、些細なことで落ちこんだりはしゃいだり、誰かの文句を言ってみたり、こうやって自分の言いたいことを誰かに伝える。
なんでもない日常に、もっと感謝しなくちゃ。


posted by さとる at 19:55| 熊本 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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