2007年04月12日

見えない絆。

ちょいと前にオープンした六本木の「東京ミッドタウン」。
えらい騒ぎでしたねぇ。初日の来客者17万人だって?
もうすでに、その数字を見ただけでも人酔いしそうな勢いです。ほんと。
中でも騒がれてたのが、そのサービスというかおもてなし。
なんかホテルのコンシェルジュみたいな方々がいて(その数がハンパなく多いらしいけど)、「近くの花屋はどこか?」と聞けば、ご親切にビルの外の店であっても近くまで一緒に案内してくれるんだと。
痒いところに手が届くサービス以上に、痒いところを掻いてくれるサービス。
ま、ご近所の六本木ヒルズとの差別化としてやってんだろうけど、
この過剰なまでのサービスはどうかと思うわけですよ。
うまく言えないけれど、サービスのためのサービス、のような印象を強く受けてしまう。
このような過剰なサービスを見せつけられれば見せつけられるほど、
人と人との関係性が希薄な世の中を浮き彫りにしているように思えてしょうがない。
考えすぎなんでしょうかね。

ま、それはいいとして。




今回、1ヶ月ぶりに見る映画として選んだのは、


「善き人のためのソナタ」


最近、映画雑誌とか、そういう類のものを読まなくなったので
どんな映画なのかまったく白紙の状態。
強いて言えば、
○東ドイツ(ベルリンの壁崩壊前)の話
○アカデミー賞の外国語映画を受賞
それくらい。
映画好きなおばがしきりに、
「さとるちゃーん、ぜったい見なきゃだめよ」
と勧めるもんだから、レディースデーの今日、夕方から時間ができたので急遽見に行くことに。

いやぁ、おばちゃん、ありがとう。
素晴らしい映画です。

映画の善し悪し(というか好き嫌い、になるのかな? 思い切り主観なんで)は、ラストで決まる、と思っている。どんなに退屈な1時間59分があっても、最後の1分でふんぞり返るくらいの笑いがあったり、震えがくるくらいの感動があれば、それで良し! なんだよなぁ。
逆に、どんなにおもしろい1時間59分があっても、最後の1分が「なんじゃそりゃ!」と怒りにふるえるシーンだったり、嫌な後味を残せば、すべてダメ! とさえ思ってしまう。
もちろん、2時間全速でノリノリッであればそれにこしたことはない。でも、疲れちゃうけどね。

舞台は、ベルリンの壁崩壊前の東ドイツ。
反体制分子を監視する史上最大の秘密組織と言われるシュタージが、
東西統一後、はじめて映画で描かれている。という。
劇作家ドライマンと、その恋人である舞台女優クリスタが
反体制である証拠をつかむために盗聴を命じられたヴィースラー。
彼らの日常の言葉を聞き、行動を監視しているうちに、
ヴィースラーの心境に変化が…。

…というあらすじ。

ヴィースラーの心が徐々に動いていく課程や、
彼がとる行動の変化。
その、なんとも微妙な、ほんとに微妙な機微を、
ウルリッヒ・ミューエという男優が見事に演じきっている。
それだけでも、一見の価値あり!
そして、私が最も心を動かされたのは、
盗聴される側と、盗聴する側。
決して顔を合わせて交わることもない、言葉を交わすことのない
この関係性の中に、ものすごいドラマをつくりだしている脚本。
触れ合わないところに見る、人と人との深い係わり合いが、
胸にズーンッと重く響く。
そして、物語のすべてが、ラストのワンシーンに向けて
静かに積み重ねられる巧みな演出。
若干33歳という監督の手腕に脱帽してしまう。
それも、約4年という長い年月をかけたリサーチの結果なんだと思う。

次から次へと、大量生産される映画産業。
その中で、他を寄せ付けないほどの輝きを放つ作品は、
やはり、「伝えたい」という熱意がつくるものだと確信した。
その「伝えたい」ものが、結果的に「エンターテインメント」になるわけだ。


posted by さとる at 00:07| 熊本 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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