2006年09月28日

震度7強

自分の中にある「真実」を、人は他人と共有したがる。
自分と違うものを「真実」と信じている人を、受け入れたがらない。
あるいは、その人の「真実」を自分の「真実」に近づけようとする。

だって、真実はひとつしかない。
…そう思いたいものだから。



な〜んて、悶々と考えさせられました。
西川美和監督の第二作目にして、最高傑作と謳われている

「ゆ れ る」


久しぶりにブログ書いたってことは、
久しぶりに映画を観たことっす。いやぁ、この夏は働いたし、遊んだ。
秋の声を聞いたとたん、静かに何かに浸りたいと思っていたところに、
この作品のポスターを目にして、惹かれるように映画館へ。

ほとんど衝動的に、全く予備知識なくして観たわけだけど、
各界から絶賛されているだけあってなかなか見応えがあった。

母親の葬儀で久しぶりに里帰りした弟(オダギリジョー)は、
東京で成功をおさめたバリバリの商業カメラマン。
一方の兄(香川照之)は、家業のガソリンスタンドを継いで
客からのクレームに頭をさげ、家に帰れば家事や父親の世話をする毎日。
そんな二人が、思い出の渓谷に幼なじみの女の子を連れて
遊びに行ったところに、事件は起きる。

今にも朽ちて落ちてしまいそうな吊り橋から、
幼なじみの女の子は川へ転落。死亡してしまう。
その橋の上には、呆然と座り込む兄の姿。
そして、その一部始終を目撃していた弟。

香川照之が見事にまで、誠実さの中にある兄の葛藤や嫉妬を演じている。
その中で、自分が見てしまった「真実」に揺れ動く弟を、
オダギリジョーが好演。まったく食われてなかったのが嬉しかった。
あんな髪ぼっさぼっさで、手入れもしてないようで、
一歩間違えば、単なる汚い人なんだけど、かっこいい。ほれぼれ〜
兄弟という儚くて、濃い絆の中で、微妙な感情の揺れを
仕草やその表情、歩き方、手の動き、すべてに込められて
観ているこっちまで、同調させられる。
目の前にした「真実」でさえ、何度も何度も彼の中で変化していく。
そして、結局はひとつになり得なかった。(と私は思う)
最後まで揺れ動かなかったのは、兄弟であるという「事実」だけ。

ラストの1秒(!)で、
「自分の真実を信じられるのは、自分だけ」とメッセージを
ポーンッと投げられたような気がした。
2時間ちょっとの時間は、ラスト1秒のためにあったもの。
久々に骨のある映画に出会えた。


そうそう。ラストに流れるのは、カリフラワーズの曲。
熊本出身の人がいるんで、よく熊本にライブにきていた。
R&Bのサウンドと、かっこつけない素直な歌詞が、本当にいいっす!
こちらも、おすすめなり。
posted by さとる at 13:38| 熊本 | Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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